2013年7月9日火曜日

【PickUp】選挙とSNSとビッグデータ

カリフォルニア州の40歳~49歳の富裕層女性はジョージ・クルーニーがお好み! なるほどねぇ~。NY州ではサラ・ジェシカ・パーカーが人気。ブルース・スプリングスティーンがオハイオ州で登場するのも分かる分かる。

でも、これは全米のタレント人気ランキングの結果ではありません。2012年の大統領選挙におけるオバマ陣営の選挙資金パーティーでキャスティングされたセレブです

アメリカではビッグデータに基づく選挙戦略がすでに実行されています。オバマ陣営では、地方での選挙資金集めのパーティーで膨大なビッグデータを元に、土地柄や招待客の層と嗜好にあわせて支持者の俳優や女優などのセレブを選び、効率良く、より高額の選挙資金を集めました。
それに関して興味深いレポートがありました。お暇なときに読んでみてください。ヘタなニュースより面白いです。
KDDI総研 米国大統領選に見るソーシャルとビッグデータの役割
また、つい最近(5月)、選挙をにらんでNHKで特集が組まれました。こちらは短くてわかりやすかったです。

オバマ陣営の戦略は常に進化してます。2008年からアプリを使い、2012年の選挙ではその時から集積したデータを他のデータベースと統合して精度をガツンと上げているそうです。

”ソーシャルメディアのコンテンツを「発信」でなく「受信」して集め、大量のデータを動かして、シミュレーションや解析を行うツールや環境が充実し、データ解析の技術が急速に進化してきたという環境”

このセンテンスを読んだだけで鳥肌が出ます。すごっ! 脳からヨダレ出てきた。

もう一つ、前選挙でオバマ陣営が取ったのはソーシャル戦略の徹底です。キーワードは『パーソナライズ』。

”誰の名前でどういうメッセージを送るのが最も効果的か、膨大なシミュレーションが行われ、それぞれのターゲットに合わせた発信者と内容のメッセージが送られた。支持してくれそうな個人にパーソナルに呼びかけた。”

例として、筆者の元にミッシェル・オバマ夫人から贈られたツィッターのダイレクトメッセージが挙げられています。こんなのがダイレクトメッセージで届いたら興奮しますよね。パーソナライズされていますから、誰にでも同内容のメッセージが送られてきたのではなく、インフルエンサーとして影響力があるがために、その内容に特化したメッセージとなっています。
マスコミに依存するのではなく、ソーシャルをオウンドメディア化し、情報発信と受信によるコミュニケーションとシェアの輪を広げたこと
オバマ陣営は、これを莫大な費用とデータを投入して実装し、勝利を得た、ということになるのでしょう。重要なことは、

“オバマ大統領自身がすべて理解しているわけではないだろうが、それだけのスタッフを雇い、彼らを率いて使いこなせる程度にはITを「理解」しており、そのためにリソースを割く判断ができる。”

という点です。トップは何も知らなくていい、という訳ではないのです。ネット選挙活動が解禁となった日本で、一体どれくらいの候補者がこの点を理解しているでしょうか。日本企業のトップもまた然り。リーダー(決断する立場の人間)が、システムの詳細は知らなくてもいいけれども、その効果ややろうとすることを理解していなくては、クソの役にも立たないことでしょう(あらやだー)。KDDIのレポートの末尾でもこの点について鋭く言及しています。

イン・ザ・ループ Blog (2011/11/01)ソーシャルCEOとは?
 
こういう記事もあるので、CEOという立場、管理職にある立場の方々にはぜひ読んでもらいたいものです。記事自体はちょっと古い時期のものですが、しかし日本ではさほど進んでいないせいか内容は古びてないと思います。まあ、よくてブログですかね。あれも誰に発信しているのかわからないのが多いですけどね。顧客なのか、広く世間なのか、社員なのか、関連会社の幹部なのか。社員や幹部へのメッセージなら社内SNSでやればいいのに、とか思う今日このごろ。


また、最近の記事で気になるものをピックアップしました。
ITmedia マーケター通信 facebookの遊説報告は結局スピーカーでの連呼と同じ?
よく見かけますよねえ、この刺さらない遊説報告。暑苦しいのもうっとおしいけど、「で、だからなによ」というリアクションにもつながりかねない薄さですな。唯一評価されている感じの安倍首相のFacebookページのイメージ写真があざとい・・・(笑 どこが(誰が)フィクサーなんでしょうね?
http://www.facebook.com/abeshinzo?fref=ts

 あとYahoo!からこんなのも。
ビッグデータが導き出した参議院選挙の議席予測
興味深いのが、その結果ではなく、「ビッグデータ(主に検索)を用いてその時々の話題をレポートしていこう」という試みです。元データは置いておくとして、調査方法や予測方法を簡単に説明してくれているのは面白い。まあしかし、「「Yahoo!検索」データなどのネット上の動きと、実際の得票数の間に高い相関がある」ことの真偽はわからないですけどね。
受け手の私たちは結果や予測がどうか、ではなくそれを材料に『自分がどう考え、判断するか』が最も大切なことではないかと。



なぜこうもビッグデータのネタを使うかというと、流行ってるというものあるのですが、これによって今までの解析のロジックや思考がひっくり返る可能性があるからです。実際にビッグデータに触れる機会はそうそうないかもしれませんが、アンテナを張って知識を仕入れておいてもソンはない、と思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿