2013年8月7日水曜日

【解析いろは18】アクセスログ解析のKGIとKPIの意味

昨今、どこのサイトや本にも「ウェブサイトのKGIとKPIを決めてPDCA回そうぜ!」と書いてますが、よくよく読んでみるとKGIとKPIの内容がそれぞれで微妙に違ってます。で、実際、特にこれからウェブサイトのKGIとKPIを策定する場合に悩むことが多いのではないでしょうか。

1.結論
早っ! いや、これ正解というものを求めると訳が分からなくなるので最初に書きます。 
・大目的(ゴール)、それを達成するための目標と手段と計測手段(指標)の関連性が密であり、 
・レポート内でのそれらの定義をブラさない。
・それらを常に意識して指標を見る。
ことができれば、どれを何と呼ぼうが全然構わないと思います。でも分析する側は、自分の中とクライアントの間に共通の定義を持っておかねばなりません。これは絶対のお約束です。それをどうやって決めているのか(というより、どうしてこうなった!的な)ということをちょっとご紹介します。

「こういう目的のサイトにはこんなKPIを見るといいよ」的な内容を期待されている方もいらっしゃるかもしれません。なので、末尾に参考リンクを掲載しておきます。しかし重ねていいますが、それがあなたのクライアント全てに適しているとは思えません。結局は結論の1~3に戻らざるをえないと思いますよ?
 
2.「日本流」?のKGIとKPI
海外の解析ツールの仕様を確認していたとき、 主な指標が一覧できるダッシュボードで「重要評価指数(KGI)」というタイトルがついてました。
しかし、あるケースでの私のKGI、KPIの考え方は大体下記のような感じだったんです。
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(例)
★ウェブサイトの目的(ゴール):企業の活動内容と製品の認知度向上
 ■KGIその1:サイト全体の直帰率を下げる
   ┗KPI(1) サイト全体の直帰率 /判断指標 サイト全体の直帰率
     ┗想定されるアクション(対策) 直帰率の高いサイトトップページの見直し

 ■KGIその2:企業CSR情報ページを良くみてもらう
   ┗KPI(1):CSR情報コンテンツのッション数増加/判断指標 CSRコンテンツのセッション数    ┗KPI(2):ページインデックスの特定のコンテンツ誘導バナーをクリックした数/
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いわば、KGI=何がしたい、KPI=何をする+その判断、計測の指標をピックアップと、3段重ねでした。 なぜそんなこってこてにしたかというと、このケースにおいて、レポートする先の用語や解析内容の認識など、アクセスログ解析に対するリテラシーがさほど高くないからでした。

(ウェブサイトの本当の意味でのビジネス活用については最近になって浸透してきて、ようやく効果測定しなくちゃねというところに辿り着いたと思います。ですからソーシャル解析とその効果測定については、早いところはやってるけど、まだ少数派だと思います。)

話を戻します。解析ツールでKPIとして表示されている指標は、設定したKPI(を測る指標)として該当するものもあれば、そのままでは出てこないものもあります。ですので「これKPI(ドン!)」と出されてしまうと「じゃあこちらで設定したKPIの扱いはどうすれば?」とちょっと混乱したんです。
開発側にそのKPIの意図を聞いたら、海外ではこれで分かる。日本人が見るとそれまで使ってきたKPIと意味が少し違うようだ。という話でした。
海外がどうか、という話は海外案件をやったことがないのでわからないですが、この差は何かということを考えた場合、ある数値に対する認知、理解なんじゃね?と思った次第です。

アクセスログ解析という多くのユーザーが使うプラットフォームでも、取得する値とそれを当てはめる指標は共通です。 それら数値をどう使うか、というのがユーザーによって異なるだけです。えーとつまり、前記の(例)を書き直すと…
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★ウェブサイトの目的(ゴール):企業の活動内容と製品の認知度向上
 ■KGIその2:企業CSR情報ページを良くみてもらう
   ┗KPI(1):CSRコンテンツのセッション数 (←CSR情報コンテンツのッション数増加を測るため)*この緑の部分は記載しません
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とまあ、こんな感じです。KPI=Key Performance Indicator なのですから本来的にはこの使い方が妥当でしょう。業務上、簡潔に状況把握するにはこちらのほうがやりやすい。数値を見て把握できるわけですから。KPIの判断指標を「なぜそれを見るか」「その数字に対してどういう評価をすればよいか」がきちんと認知されていれば(←~ )は不要なんですね。「共有知」という言葉がしっくりきます。業務で、絶対に会計や営業では売上げや見込みといった指標を元に分析や把握をしてますよね。それが「共通の認識と言語」であれば数値だけで報告は通用するのです。PVやユーザー数の増減を見て一喜一憂しているだけ、というのとの差はここにあります。指標を見るという点では行為は似ていますが得られるものが全然違います


(なぜ日本の(?)KPIが回りくどいのか、なぜアクセスログ解析の指標が指標単体で「良い・悪い」といった判断基準になりにくいか、というのは特有の理由が思いつくのですが長くなるのでこれはまた今度。(いつだ!))

でも、「共有知」は短時間で生まれるものではありません。だからレポート内容一本で理解してもらうためにブレない程度にKPIを具体的・詳細に書くことも許されるのでは、と考えます。従ってレポートを作る前に、

 ・大目的(ゴール)、それを達成するための目標と手段と計測手段(指標)

は絶対に決めておく必要があるわけです、はい。KGIやKPIを考えるにあたって、どれを使うということを提示する前に、定義の内容と、それでクライアントの理解が得られるか、がとっても重要ですよね、という話でした。

<参考リンク>
具体的にどのようなKPIを採用すればいいのか、という参考です。記事の掲載年がちょっと古いのですが、内容はまた賞味期限だと思います。
Web担:Web解析のためのKPI大全

http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2011/04/05/9719

Web担:KPIづくり実践術 徹底解説(1) - ゴールが明確でないサイトでも大丈夫!

 

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