2013年8月27日火曜日

【Books】ロイヤルティリーダーに学ぶソーシャルメディア戦略

タイトル:ロイヤルティリーダーに学ぶソーシャルメディア戦略-ロイヤルカスタマー進化論
著者:高見俊介
出版社:ファーストプレス
出版日:2011/3/25
おすすめ度:★★★
本書は従来型の顧客満足にソーシャルメディアの要素のひとつ「クチコミ(推奨)」を加味して考える、顧客像と指標NPS、それを用いた分析事例の本です。 ソーシャルメディアの企業活用の問題、ソーシャルメディア活用の重要性。NPSという顧客ロイヤルティ指標を用いた分析と業務改善というのがこの書籍の内 容です。ソーシャルマーケティング全体の流れやポイントを把握できるが、判断軸や結論がほぼすべて「NPSでは~」になっているのでそこはマスキングしないと使えないのですが、そうするとオチがないことになります。(なんだそりゃ)


出版は2011年ですが、現状も大きな変化はないように思います。その意味では内容が古びている感じはしません。「なう。」なマーケターが読んでも役立つと思います、半分程度は。なぜ半分かといいますと、NPSという指標の説明、それを使った実例と改善が全編にわたって基軸となっているからです。NPS自体はユニークで分かりやすい指標だと思いますが、いかんせん普遍化するには敷居が高い印象が否めません。というのも、日本では認定取得者がごく少なく(著者しかいないのでは?)、この指標の認知度が未だ高いとはいえません
ですので、この本はNPS部分はさておいて、ソーシャルマーケティングという視点で読むほうが分かりやすいし、そのほうがまだ役に立つと思います。じゃあソーシャルメディアマーケティングを理解するために買ってもいいかというと、今なら他にも本があるだろうからNPSやNPSの事例に興味がなければ買わなくていいです。

 <目次>第1章 ソーシャルメディア時代のマーケティング
第2章 ソーシャルメディア時代の顧客セグメンテーション
第3章 ソーシャルメディア活用策(前編)
第4章  ソーシャルメディア活用策(後編)
第5章  ソーシャルメディア活用策の効果測定
第6章  ソーシャルメディア時代に求められる「真」の顧客中心
  
以下、記憶に残った点です。

◎ソーシャルの企業活用が迷走するのは、ソーシャルメディア利用の目的が明確でないから。
 まあ、そうですよね。いや、目的はあることが多いのですよ、一応。企業認知度を上げたいとか、商品の売り上げにつなげたいとか。その目的に適しているのかどうか、達成可能性があるのかという検証や認知がないだけで。強いていうならソーシャルメディアにおけるKPIがない、というのが企業利用においては一番問題なのかも。
 
◎企業の顧客戦略の変化。顧客セグメンテーション
推奨意志があり、顧客収益性が高い人・・・天使
推奨意志はあるが顧客収益性は低い人・・・宣教師

推奨意志もなく顧客収益性が低い顧客(つまり企業や商品に不満を持っている)は反逆者。酷いww
顧客セグメンテーションをソーシャルという側面から再分類してプロモーション手法を変えるなど、面白いと思いました。顧客の心理に踏み込んだ調査で分析し、対応をそれぞれのグループで変えるといったことはこれまでのマーケティングでも常套手段でしょう。しかし、そういった煩雑な調査を「推奨意志」という軸でスコア化したことは評価していいと思います。わかりやすい指標と言われるわけです。

 
◎NPS(ネットプロモータースコア)
詳細はは下記を参照してください。
ウェブ担:用語集 NPS
調 査方法はいたってシンプルで指標として分かりやすいという利点がありますが、NPSはこの手法の提唱者及び会社に商標登録されています。勝手にテストだけ 流用して御社の顧客ロイヤルティを測りますとかなんとかやってると怒られると思います。(そのために認定者制度があるわけで)。これも、広まらない理由の 一つかなと思います。このテストだけで煩雑な顧客意識調査をせずに顧客ロイヤルティが測れる、という点では画期的ですが、精度やフィナンシャル指標との相関性については今も賛否両論です。今後の研究と実績次第ですね。

◎ソーシャルメディアの企業活用はCEOがキー
これはどこでも説かれますが、最も厚く高い壁ですよね。トップが旗を降ればそりゃ社員はやりやすいですよ。予算も付きますし。
日本でウェブへの投資の腰が重い理由はソーシャルメディア活用の効果が企業の経済効果と相関性があるというデータが今のところ明確なものがない、というのが大きいと思います(本書ではNPSだったら説明できるよと言ってるのですが、まあそれはさておいて)。しかし、私自身はソーシャルメディアの成熟が進むにつれて企業の活用の場も必ずある、と思ってます。

ソーシャルは中長期で運用、ROIでは効果測定するとおかしくなるとか不採算性だけ目に付くとか、分かるんですよ。分かってるんですよ。そのヒントを求めて本書を買ったのですが、問題提起だけで終わってしまったのが残念です。まあ、これらソーシャルの効果測定はみなさん、今現在、試行錯誤を重ねて進めています。大きな成功事例もよいのですが、大きな失敗と小さな成功事例の積み重ねがヒントになるのでは、と思っています。

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