2013年5月21日火曜日

【解析いろは8】どうしても他社と較べたいアナタへ

解析業務をやってると必ずといっていいほど聞かれることがあります。
「他の会社のデータはわかりますか? どうなんでしょうか? 業界平均はどのくらい?」
いやいやいやいや。業界平均なんざありませんよ。事業規模、社員数、ウェブサイトの目的、規模、投資額も違うのに数値だけで平均を出すことに意味はありません。
・・・なんて言うとガッカリした顔をされます。辛い。基本的にサービス精神旺盛だから。

業界平均なんて値があるのであれば私たちの仕事の労力の1/3くらいは省略され、他のことに力と時間を注ぐことができるかなぁ。なので、そういう統計学的なロジックが確立されることを期待していますし、実際、ビッグデータ時代ですからそう遠くない日に出るのではないかと思います。

なぜこのような要望が出るか。それは数値を見ても実感がない、達成感がない、わかりにくい。という心の声なのです。
アクセスログ解析というデータの特性上、相対的判断をするにあたって基準がないとこういうことになります。相対評価をしていると客観判断と合わなくなってくるのです。
アクセスログ解析は相対的にデータを解析するものですが、外に広く開いているメディアであり、ビジネスのワークフローの中でうまく回すには、やはり客観性が必要なんですね。

■インターネット視聴率調査
多くの場合、業務で得た情報は守秘義務に反するため公開できません。 ですが、類似のデータを提供する有償・無償のサービスはあります。
これは実際のアクセスログではありません。視聴率=外部からのあるサイトへの接触を調査したデータです。統計的なモニター調査ですから、実際のアクセスログとはかけ離れている可能性がある反面、ユーザー層や年齢、職業の詳細など、ログからは分からないことも分かったりもします。

◎有料の有名どころ
・ビデオリサーチインタラクティブ(http://www.videoi.co.jp/
・ニールセン(http://www.netratings.co.jp/
・マーケギア(http://mgear.jp/
マーケギアはNTT系列(NTTデータキュビット)の視聴率調査のツール紹介サイトです。が、サイトがちょっと古いし更新がされてないようです。無料で見られる範囲もものすごい古いデータです。ビデオリサーチインタラクティブやニールセンは傾向の把握や知識としてホワイトペーパーを読んだりします。

◎無料の有名どころ
・Google アドプランナー(https://www.google.com/adplanner/)ログインが必要。
一時期消えてたような気がしたんですが、今は使えてますね。データがアメリカ中心のため日本のサイトデータはない場合が多いです。あと、調査基準がわかりません。本当にばっくりとこんなもんかな、と見るためのサイト。

その他の無料のツールについてはこちらのブログに詳しく書かれていたので参照させていただきました。(Ginza Metrics:競合他社のウェブサイトはどうなってるんだ? を簡単に調べる無料ツール3選+α

私が個人的に使える・使いたいと思ったのは下記2種。
・ドンナメディア(http://donnamedia.shoeisha.jp/)  →2013年6月にサービス終了となりました。惜しいことを・・・
・Similar Web(http://www.similarweb.com/)
 Similar Webは海外企業のサービスですが、日本のサイトも出ます。すごく多機能です。すばらしい! でも共通しているのは大企業や大規模なサイトでないとそもそも情報がない、という点です。

ドンナメディアはマーケギアから情報提供を受けているNTT系列の会社です。一定範囲での無料リサーチ、情報提供はドンナメディアというハコでやってるようです。 マーケギアのサイトはあくまでもツール紹介でNTTデータキュビットはしっかりNTTフォーマットで、今年の更新もあります。マーケギアというツール(サービス)を売りたいのか売りたくないのか、わかんないですね。

余談ですが、サイトを見てると余計なお世話なことを推測します。更新状態を見たり、昔に作ったサイトを放置したり、新設したサテライトサイトを見て 「この企業はこういうことをやりたいのかな?このサービスはどうするのかな?」など。それが止まらなくなって親分サイトまで遡って企業方針やプレスリリー スを過去半年~1年くらい遡って読んだり。お金にはなりませんが、自分のためのいい勉強になります。これこそが、解析業務で必要な日常の作業なのかもしれ ません。

■利用上の注意
何度もいいますが、有料無料問わず、独自の調査データであって、実際のアクセスログデータではありません。
(1)業界の傾向を把握する

(2)参考程度に留める
データ、特に無料提供の分は調査母数が少なくて偏りが多いようです。データを見る前に、まず調査方法のページなどを確認してください。 有料サービスの場合は明示がありますし、教えてくれるはずです。
(3)レポートに記載する場合は引用を明記。
引用や転載の可、不可や引用時の表記は遵守すべし。

■絶対にやってはいけないこと。
これらの数値を判断基準にしない。あるデータを判断基準にしたくなる気持ちは分かるのですが。これは解析する側も、クライアント側も充分認識しておくべきです。
例えば、レポートでA社よりもPVやセッション数などの指標が多い、少ないという見方です。
なぜそういうことをしてしまうかというと、自社の指標を測る明確な基準(ゴール含め)がないからです。そこに数字やデータという言葉に対する迷信が加われば迷走するにきまってます
アクセスログ解析を知らないほど、比較対象をほしがります。それは自社のアクセスログを理解していないからです。まずはアクセスログに対する基本的な理解と、自社の現状をしっかり認識すべきだと思います。

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